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南郷アートプロジェクト2014|南郷Re-collection

barスマモリ★マスター対談

『barスマモリ』は、島守に関わりのある方が、月替わりでマスターを務めます。そして、そのときの感想や、島守のことや地域に対する想いを率直に話してもらう「マスター対談」をしていただいています。9月のマスターを務めたのは、8月に旧島守保育所で開催された「しまもりの夏休み」の取材に来て下さった青森テレビのニュースキャスター今泉清保さんです。興味深いお話がたくさんですよ。

山本さんちは、他人の家でもなく、店でもないゆる〜い感じがいい

山本:
まず、マスターお疲れ様でした。かつてないくらいおしゃれな料理がでてきましたよね。料理、慣れてますね。手際いいし。
今泉:
こんな大人数が五月雨式にやってくる状況で、料理を作ったことがなかったので、どんなもんだろうと思ってたけど、途中から変なスイッチが入って、出せるもの出してやろうか!って感じになっていました。食材もどんどん増えるし(笑)
山本:
16時くらいに来てくださって、0時過ぎまで働かせちゃって…。今までで一番営業時間が長かったんじゃないかな。最後まで残っている人も今までで一番多かったし。
今泉:
みんな帰らないんだもん(笑)最後は強制的に帰しましたよね。
山本:
この家に来られるのは3回目だと思うんですけど、どんな印象ですか?
今泉:
集まりやすい気がします。ここの開放感が。本当はご近所も気にしなければいけないけど、都会ほどご近所が近くないので、ある程度は盛り上がれるし。
山本:
もちろんある程度ですけどね。
今泉:
山本さんが真ん中にいるんじゃなくて、ちょっとはじっこにいるっていうのが印象的だったかな。みんなも気を遣っているような、そうでないような、ゆる〜い感じがいいんだろうなと思います。都会だろうが、田舎だろうが、意外とないかも、こういう場所って。
山本:
“バー”と名乗ってカウンターがありつつも、バーっぽくないしね。全部が中途半端なんですよ(笑)ここは家だし、お客さんは玄関から入ってくるし、みんながカウンター囲っちゃうし。
今泉:
結局、店じゃなくて家なんですよ。だからいいんじゃないですか。
山本:
地元の人もだいぶ慣れてきた感じはしますよね。もちろん遠慮がなくなったわけじゃないけど、最初より無くなった。
今泉:
他人の家ってやっぱり遠慮するもんね。山本さんちは、他人の家でもなく、店でもないくらいのとこにいるんですかね。
山本:
物がどこにあるのか、みんな覚えはじめてますからね。楽ですホント。
今泉:
5月のマスターで賄い部長さんの田中さんに「何も作らなくていいから楽だ」って言われました。一回くらい誰かに何か作ってもらって、僕も料理食べればよかったかなと後から思ったけど。

なんとなく楽しそうに見える 「何やってるの?」って、クエスチョンが付いてるくらいがいい

山本:
ニュースキャスターをされているので、こんなまちおこしが行われているというニュースに触れられる機会も多いと思うんですが、そういう中で南郷アートプロジェクトや「山本さんち」でやろうとしていることにどんな印象を持ってますか?
今泉:
今回の「barスマモリ」も8月に保育所でやった「出張barスマモリ」も、人の関わり方があんまりセコセコしてなくて、ゆるくていいなぁと思いましたね。

「あ〜、今泉さんだ〜」って言いながら、ものすごく遠慮してるんだけど、一線超えると距離が近くなるのが早いというか。それはこの南部地方のいいことかなと。もし津軽地方で、山本さんがやっていることをやろうとすると、すごい時間がかかると思う。山本さんが雪の多い津軽の暮らしに慣れるのにも時間がかかるだろうし、人と慣れるのにも時間がかかるだろうし。同じ東北人だから、基本的にシャイで、あまりベタっとならないと思うんだけど、でも南部の気候とか土地の感じとかは、いろいろなことをやりやすいのかもしれないですね。よくぞこの場所でここの家が見つかったなと。
山本:
縁ですね。
今泉:
バーの印象も、地元の人が集まったときに愚痴を言う訳でもなく、みんな若くて楽しくて。

下北で「あおぞら組」という活動をしてる島康子さんっていう女性がいるんだけど、周りから見て楽しそうだなって思ってもらうことが大事だって言ってました。山本さんは、あんなに大きく旗を振ってないけど、小旗を並べて旗を振っている感じだよね。旗を振る人なりの大変さはあるんだろうけど、周りがそれを見て、なんかあの人楽しそうだなって思わせることが、まちおこしをする人の大事なことなんだなって思う。旗を振っている人が必死に見えて、大変そうだから手伝おうかっていうまちおこしもあるけど、今やっていることは、山本さんがなんとなく楽しそうに見えるようになっているのがいいと思います。

何やっているの?ってクエスチョンがついているくらいでいいのかもしれない。
山本:
出来ることからやっているだけなんですけどね。それ以上、無理して頑張ってもしんどくなるだけだから。地道にやらせてもらってます。
今泉:
山本さんも周りの人も義理になっちゃったらしんどくなるもんね。自分のやりたいことを、なるべく義理とかしがらみにとらわれずやるっていうのがアートなのかなって。

保育所でやっていた「しまもりの夏休み」の取材のときに、ダンスカンパニーの「Co.山田うん」が島守コミュニティセンターでダンスパフォーマンスをやっていましたよね。あれが何かって言われれば、見に来た人は誰も説明できないけど、ダンスのパフォーマンスなんて一生見ない人が多い中で、ああいうものがさらっとコミュニティセンターで見られて、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまでわからないなりに見てるっていうのはすごく面白かった。
山本:
たしかにそうですよね。この地域でああいう前衛的なことをやっていて、それをなんとなく受け入れてくれてる。そう考えると不思議な地域ですよね。
今泉:
町や村ではおよそ見られないようなものが、さらっとそこにある。地域の人もそれが好きか、いったい何なのか考える前に、近くだから行ってみようかってなって。まちの人がみんなアートに関心があるっていうんじゃなくて、でもアートをさらっとやれるのが本来の「アートのあるところ」なのかな…。なんて、今初めてアートについて考えてしゃべってるんですけど(笑)
山本:
「さらっと感」というか、生活の中に当たり前のようにある、そんな状態がアートの居方としてベストなのかなと思いますね。だから、アートが本当に浸透してほしいと思います。でも今は、行政もアートを支援してますよね。八戸市は特に積極的だと思いますよ。そういうのもあって、僕は八戸いいなと思ってるんです。
今泉:
八戸は「はっち」もあるけど、行政が建てた建物で、あんなゆるいのも珍しいですよね。
山本:
高校生たちが勉強してて、おばちゃんたちが休んでて、その光景はスゴくいいですよね〜。アートセンターというよりは公民館に近いと思うけどね。
今泉:
僕は公民館に近いのが逆にいいと思います。公民館と変わらないんだけど、港町だっていう文化が分かったり、子供がゲーム機以外で遊べたり、子連れのお母さんが行けたり、そこかしこに机があって、前だったら図書館に行っていた中高生がいたり。そういうゆる〜いスペースっていいな。
山本:
今日のキーワードは「さらっと」ですね。まちなかに、さらっとアートを本気でやっているところがあって、さらっと入れるっていう。まちなかでたまたま近くを歩いてた女子高生が「今日どうする?はっち行く?」って言ってたのを聞いて、すげえなって思いました。浸透してますよね。
今泉:
あと、こないだ「スマモリとしょかん」で遊んでいる子供たちを見て、あんなに遊ぶ子どもって久しぶりだなって思ったんですよね。そこにあるものでどんどん遊ぶ。楽器を鳴らしてると思ったら、最終的には行進を始めて、もう何がなんだか分からないんだけど、なんか楽しそうで。

でも、「barスマモリ」に来ている人たちも、勝手に飲んで、勝手にしてるのが似たような感じだったかも。この「勝手に」っていうのは大事だと思う。せっかくこういう場所を作っても、それぞれが遠慮していたら楽しくないもんね。それぞれの立ち位置で、それぞれがめいいっぱい遊ぶことを知っている感じですよね。都会で子供が育つよりは、絶対にこっちのほうがいいやって思いましたね
山本:
もし子供がいたら島守小学校に入れたいもん!

しまもりの夏休み

南郷アートプロジェクト2014で行った、2014年3月に閉所した旧島守保育所をアートで活用するプロジェクト。

はっち

青森県八戸市の地域観光交流施設。正式名称は「八戸ポータルミュージアム」。